『ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ』(P5S)は、人気作『ペルソナ5』の続編として発売され、大きな話題を呼びました。 しかし実際にプレイしたユーザーの中には、「思っていたのと違った」「正直つまらない」と感じる人も少なくありません。
なぜ、あれほど期待されたP5Sが一部で「つまらない」と言われてしまうのか? この記事では、実際のプレイヤーの声やレビューをもとに、評価が分かれる理由を徹底的に掘り下げていきます。 これから購入を検討している人にも、すでにプレイした人にも参考になる内容をお届けします。
『ペルソナ5 スクランブル』が「つまらない」と言われる理由とは?
戦闘システムの単調さがテンポを崩す
『ペルソナ5 スクランブル(P5S)』は、アクションRPGとして新たに挑戦した意欲作ですが、戦闘面において「単調で作業感が強い」という声が多く上がっています。
特に、雑魚戦では同じ操作の繰り返しになりがちで、次第に飽きが来るといった評価が目立ちます。
一方で、スキルを活用した戦略や仲間との連携によって奥深さもあるものの、それを引き出すまでの導線が不親切との指摘もあり、プレイヤーによって評価が大きく分かれているのが実情です。
そのため、無双系アクションの爽快感を求めてプレイした人には物足りなさを感じさせてしまうケースが多いようです。
ストーリーの方向性が本編と異なり違和感がある
P5Sの物語は、本編『ペルソナ5』の重厚な社会批判的ストーリーとは異なり、「夏のロードムービー」的なライトな展開が主軸となっています。
この点が、「ペルソナ5らしくない」「世界観が軽く感じる」として一部のファンから不満を呼んでいます。
たしかに、旅先での仲間との交流や新キャラクターとの出会いには魅力がありますが、ダークで緊張感ある本編を好むプレイヤーにとっては、深みや重みが足りないと感じられるのかもしれません。
これはあくまでスピンオフ作品であるため方向性の違いは当然とも言えますが、期待とのギャップが不満の根源となっているようです。
P5Rとの接続がないことによる物足りなさ
『ペルソナ5 ロイヤル(P5R)』で追加されたキャラクターやイベントがP5Sには一切登場しない点も、ファンにとっては大きな失望要因の一つです。
かすみや丸喜といった人気キャラクターの不在は、「P5の正統な続編」としての説得力を欠いてしまう部分でもあります。
また、ストーリー上もP5RではなくP5無印を前提としており、ロイヤルをプレイしたユーザーには違和感が残ります。
こうした設定面のチグハグさは、「せっかくの続編なのにP5Rとのつながりがない」というフラストレーションにつながっているのです。
UIとテンポの悪さが没入感を削ぐ
使いづらいメニュー画面が操作の快適さを妨げる
『ペルソナ5 スクランブル』では、前作『ペルソナ5』のスタイリッシュなUIが大きな魅力の一つでした。
しかし、P5Sでは開発がアトラスからコーエーテクモに移った影響もあり、UIの使い勝手や視認性において評価が分かれています。
特に不満が多かったのはメニュー画面の構造で、アイテム管理やスキル選択が直感的にできず、「戦闘中に迷う」「目的のアイテムにたどり着けない」などの声が聞かれます。
本編の操作感に慣れていたユーザーほど、違和感を覚えることが多いようです。
ロード時間の長さがテンポを悪化させる
P5Sでしばしば問題視されているのが、ロード時間の長さです。
特にPS4版では、マップ移動時やイベントシーンの切り替えごとに待ち時間が発生し、テンポが大きく損なわれるとの指摘が多く見られます。
物語の盛り上がりや戦闘の連続性がロード時間によって断ち切られることで、ゲーム全体の没入感が薄れてしまうのです。
一部では「PS5やPC版なら快適」という声もありますが、ハードによって体験の質が変わる点はマイナスに映ることもあるでしょう。
会話イベントや探索パートのテンポが冗長
P5Sではストーリー進行において会話パートが多く用意されており、キャラクター同士の掛け合いや関係性の描写が重視されています。
これはファンにとって嬉しい要素でもありますが、アクション要素を期待するユーザーからは「会話が長すぎてテンポが悪い」との不満も寄せられています。
さらに、街中やジェイル内での移動もスムーズとは言いがたく、マップ構造や目的地のナビゲーション不足から迷う場面もあるようです。
「早く戦闘したいのに探索が足かせになる」と感じるプレイヤーも一定数存在し、テンポ面での課題が浮き彫りになっています。
ストーリー構成とキャラクター描写のギャップ
重厚な本編との温度差に違和感を覚える
『ペルソナ5 スクランブル』は、本編『ペルソナ5』のその後を描く正統な続編として位置付けられています。
しかし、実際にはシナリオのトーンが大きく変化しており、P5特有のダークでシリアスな社会問題への切り込みは控えめになっています。
その代わりに、仲間たちが夏休みを利用して日本各地を巡るという「青春ロードムービー」的な明るさが前面に出ています。
この方向性の違いが、本編の緊張感や心理的深さを期待していたプレイヤーにとって「薄味」に感じられる要因となっています。
新キャラクターの扱いが賛否を呼ぶ
P5Sではソフィアと善吉という2人の新キャラクターが登場し、物語の中心を担っています。
彼らはそれぞれAIや刑事という新鮮な立場から怪盗団の活動に関わっていき、物語に新風を吹き込む存在です。
しかし、既存のファンの中には「新キャラの掘り下げに時間を割きすぎて、既存メンバーの活躍が薄い」と感じる声もあります。
特に後半になるとソフィアの存在が大きくなりすぎてしまい、主役たる怪盗団とのバランスが崩れたと感じたユーザーも少なくありません。
ロイヤル版キャラクターが完全に不在
P5Sは『ペルソナ5』の無印をベースにしており、『ペルソナ5 ロイヤル(P5R)』で追加されたキャラクターであるかすみや丸喜は登場しません。
これはP5Rをプレイし、かすみとの絆や丸喜との結末に強い感情を抱いたプレイヤーにとって、非常に残念な点として映っています。
「本当に続編なのか?」「あのキャラはどこへ?」という疑問や不満は、ストーリーの没入感にも影響を与えています。
P5Rで描かれた感動のラストと繋がっていないことで、P5Sの物語を「別物」として受け取ってしまうファンも多いようです。
難易度と戦闘バランスの不均衡さ
アクション初心者には厳しい戦闘設計
P5Sの戦闘は、従来のコマンドバトルから一転してリアルタイムアクション形式に変更されています。
これにより「爽快感がある」「テンポが良い」と評価する声もある一方で、アクションゲームに不慣れなプレイヤーからは「難しすぎる」との不満も多く見られます。
特に、敵の攻撃が激しく範囲も広いため、回避や立ち回りに慣れていないと序盤から苦戦する場面が多いのが実情です。
難易度設定は用意されているものの、「イージーでも辛い」「ボス戦で詰まる」といった声は少なくありません。
スキル使用に制限がかかりすぎている
P5Sでは、戦闘中にペルソナスキルを使うためのSP(スキルポイント)が非常に枯渇しやすい設計となっており、スキル主体で戦おうとするとすぐに限界が来てしまいます。
回復アイテムの所持制限やショップでの購入数制限もあるため、「結局スキルを温存して通常攻撃に頼らざるを得ない」という状況になりがちです。
これにより、せっかくのペルソナスキルの魅力や戦略性が活かされず、戦闘が単調になってしまう原因の一つとなっています。
敵の耐久力が爽快感を削ぐ要因に
戦闘のもう一つの問題点は、敵の耐久力が高すぎることです。 ボス戦ではHPが異常に多く、長期戦を強いられるケースが多くあります。
その一方で、ギミックや弱点を突く手段が明確でなかったり、効きづらい相手も多いため、ひたすら攻撃と回避を繰り返すだけの展開になってしまうことも。
アクションのダイナミズムを打ち消してしまうこの戦闘バランスは、「作業ゲー」と揶揄される要因の一つとなっています。
ペルソナ5としての魅力が薄れた点
日常パートの縮小による没入感の喪失
『ペルソナ5』シリーズの魅力のひとつは、ストーリーだけでなく、日常生活の中で仲間との絆を深める「コープ」やカレンダーシステムによる時間管理など、RPGならではの生活感にありました。
しかし、P5Sではその要素が大きく削減され、自由度のある日常パートや選択肢の幅が狭まっています。
特にコープ要素がほぼ存在しないことで、仲間との関係構築が表面的に感じられ、「あの濃密な時間をまた過ごしたかった」との声が多く上がっています。
探索要素の簡略化とフィールドの狭さ
P5Sはキャンピングカーで日本各地を巡るという新しい構成を採用していますが、各都市のマップは全体的にコンパクトで、探索の自由度はかなり制限されています。
東京・京都・沖縄などを訪れるものの、建物に入ったり細かい選択肢を選んだりといった行動の幅が狭く、風景を切り替える程度に留まっている印象です。
「もっとその街らしい文化や人との交流を描いてほしかった」「ただの通過点にしか見えない」との感想も多く、シリーズの冒険感が希薄になってしまっているのは否めません。
音楽・演出の強みは維持されているが…
一方で、『ペルソナ5』らしさを感じさせる部分も健在です。
BGMは新アレンジを含め高評価を得ており、「Life Will Change」や「Last Surprise」といった人気曲のリミックスが戦闘を盛り上げます。
また、UIのスタイルや演出面も一定の「カッコよさ」は踏襲されています。
ただし、そうした表面的なデザインの良さに対して、「中身の濃さが薄れている」と感じるファンが多いのも事実です。
「演出だけペルソナっぽいけど、やってることは別ゲー」といった評価は、本作がシリーズファンから賛否両論となっている最大の原因かもしれません。
まとめ:P5Sはつまらないのか?評価の分かれ目を探る
アクション化によるゲーム性の変化が評価を分けた
『ペルソナ5 スクランブル』が「つまらない」と評価される理由の多くは、シリーズの本流であるコマンドRPGからアクションRPGへの転換にあります。
このジャンル変更によって、これまでの戦略的なバトルや日常パートの充実といった特徴が希薄になり、従来のファンにとっては「別物」と感じられてしまった側面が強いです。
一方で、アクションに特化した爽快な戦闘や新キャラクターとの物語に魅力を見出すプレイヤーもおり、作品としての完成度が低いというよりは、方向性の違いによる評価の二極化が起きているといえるでしょう。
ファンディスク的な価値は高く、万人向けではない
P5Sは、怪盗団の面々と再び出会えるという点で、ファンディスク的な意味合いも強い作品です。
特に、キャラクターへの愛着がある人や、P5の世界観を再び体験したいという人にとっては、それだけで大きな満足感を得られる構成になっています。
しかし、ストーリーの重厚さや探索・育成の自由度といった『ペルソナ5』本編の魅力を求めると、どうしても物足りなさを感じる部分は否めません。
つまり、P5Sは「何を求めるか」によって満足度が大きく左右されるタイトルなのです。
購入前に知っておくべきポイントとプレイスタイルの選択
これからP5Sをプレイしようと考えている人は、まず本作が「無双系アクションとペルソナの融合」を目指した外伝的作品であることを理解しておくべきです。
P5本編のような重厚なテーマや日常パートを期待しすぎると、ギャップに失望する可能性があります。
逆に、アクションが好きでテンポの良い戦闘を楽しみたい人、キャラ同士の掛け合いをもう一度味わいたい人には、非常に満足度の高い作品となり得ます。
そのため、「何を重視してゲームを楽しみたいか」を明確にした上で、自分のプレイスタイルに合った楽しみ方を選ぶことが、P5Sを最大限に楽しむコツとなるでしょう。